テクニカルライティングでは明瞭さを追求します。他のいかなるルールよりも、明確さが優先します。
ここでは、あなたの文章を明瞭にする方法を幾つかご紹介します。
強い動詞を用いる
動詞には「強い」動詞と「弱い」動詞があります。
一語で明確に動作を示せるのが強い動詞。
これに対し、目的となる名詞を伴わないと意味を持たないのが弱い動詞と分類できます。
| サーバーの状態の調査を行う | 調査を + 行う |
| サーバーの状態を調査する | 調査する |
上段の例では、「行う」という弱い動詞は何を行ったのか不明瞭なため、「調査」を名詞化して意味を補っています。
「サーバーの状態」という本来の目的語の代わりに、「調査」という名詞化された動詞を使って
「サーバー の 状態 の 調査」と、「の」で名詞を多重に接続された言葉を目的語に取っています。
「行う」という言葉自体も、単純に「何かを行う」といった漠然とした意味を提示しているだけです。
下段は「調査した」と強いサ変動詞で簡潔に記述しています。目的語と直結して、より明瞭な文になっています。
形容詞・副詞を最小限にする
| データベースをチューニングした結果、非常に速くなった。 |
非常に速くなったというのは読者の注目を集めますが、技術者向けの文章では、ふわっとした形容詞・副詞の代わりに具体的な数値情報を入れてください。
| データベースをチューニングした結果、200-250% 速くなった。 |
具体的な情報を入れた文章の方が、正確性や信頼度が増します。
です・ます調と、だ・である調
現代口語文の書き方には大きく分けて「です・ます」調と「だ・である」調の2種類があります。
基本的には、1つの文章の中では、両者を混合しないように書きます。
両者を中途半端に混ぜて書くと、文章のリズム感や調子に統一感が無くなり、素人っぽい文章になってしまいます。
- 「です・ます」調の方が、親しみやすい雰囲気です
- 「だ・である」調は、テンポよく情報を伝える印象である。
記載する内容や読者との距離感にもよりますが、一般的には技術文章は「だ・である」調の方が簡潔、かつ信頼感を与える印象になります。
基本的には文章全体を通じて「です・ます」「だ・である」調のいずれかで記述するのが原則ですが、箇条書きの部分だけを「だ・である」調で簡潔に書くなどは許容範囲です。
